野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

鈴は危険だ

少し前に出た「コルトレーン ジャズの殉教者」がちょっと面白そうなので読んでみた。

コルトレーン――ジャズの殉教者 (岩波新書)

コルトレーン――ジャズの殉教者 (岩波新書)


著者の藤岡さん、コルトレーン研究家とか言ってるけど、本業は呉服屋の主人だ。なんのコネも無いのに、アメリカまで乗り込んでいって、生前のコルトレーンと親交のあったミュージシャンに会ってインタビューしたりなんかして。なんだかすげえなおい。
コルトレーンは、わたくしの場合"My Favorite Things"とか"Blue Train"あたりが文句なしに好きで、もちろん"Ballads"も大変に結構でございます、という感じで、"A Love Supreme"はちょっと微妙なところ、という、これってたぶん平均的な日本人の好みじゃないかと思うんだがどうだろう。
この"A Love Supreme"あたり以降から、コルトレーンはだんだんとスピリチュアル系というかあっち側のヒトになってしまい、音もフリーというかもう俺様にとっては何だかよくわからないことになっていったようだ。この辺は賛否両論わかれるところらしい。
"Ascention"あたりは敬して遠ざけていて、ちゃんと聴いたことはないのだが、おそらく、ちょっと着いてけねーなー、という感じなんではないかと思う。「東京大学アルバート・アイラー 歴史篇」によると、この後コルトレーンは、ラシッド・アリというドラマーを得て宇宙へと旅立ってしまうらしい。この「東大アイラー」で菊地先生は「鈴を振るようになるとヤバイ」という名言を残している。この本の214ページあたり、コルトレーンについて述べている部分は読んでいて思わず吹いてしまったものだ。ああ、別の本の話を長々と書いてどうする俺様。
この本には、コルトレーンの「私は聖人になりたい」という言葉が引用されているが、なぜかわたくしは彼の顔を見ると、谷岡ヤスジの「ド忠犬ハジ公」に出てきたペタシを連想してしまうんだなあ。
どうしたもんかねこれ。