以前「現代霊性論」を読んだとき、この釈徹宗って坊さん、なんかすげーな、と思った。そして、そのあと相愛大学のシンポジウムで動く釈さんを見て、うーむ知的な桂小枝?という感じで俄然興味がわいてしまった。そしてついに「いきなりはじめる仏教生活」が文庫化、ということで。
- 作者: 釈徹宗
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2011/03
- メディア: 文庫
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わりと、「現代霊性論」の内容とかぶるところは多いのだが、さらに一歩踏み込んでいる感じ。
まず最初の方にある、「現代はポストモダンではなくハイモダンである」っていうのが面白いですな。近代の「大きな物語」が機能しなくなり、それを否定する形でポストモダンが出てきたようだが、実はポストモダン以降は近代社会の価値観が個別に乱立し、先鋭化された状態である、と。
まあ平たくいえば現代社会ってすげーストレスフルですよね、ってことだ。そんな社会の中で苦しまないようにする手段のひとつとして、仏教の考え方を利用できますよ、と。
ご本人も書いておられるが、これは仏教というものを体系的に学ぶための本ではない。じゃあなんなんだと言われると、よくわからんが… でも面白かった。読者の持っている枠組みを揺さぶるのが目的、だそうだが。ある枠組みを徹底的に疑い、崩していく、っていうのはひょっとしてフーコーとかデリダとか、そういう連中のやろうとしてたアレみたいな感じなんですか、よう知らんけど。あいつらの言ってることってなんかよくわからんし、結局はどこにも出口がないみたいだし。あ、そういうのとは違いますかそうですか。