クラシック音楽のレビューを書く人って、なんかボキャブラリーがすごい。
どうしたらそんな言い回しを思いつくのよ、ていう表現が満載で。あ、ソムリエなんかもそうかも知れんな。あんまり聞いたことないけど。
で、「世界最高のピアニスト」っていう本を見つけて、これがまたなかなか面白いわけだ。
- 作者: 許光俊
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2011/08/17
- メディア: 新書
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まあタイトルを見ればわかる通り、世界中の色んな名ピアニストについて、彼らの演奏がどのように素晴らしいか(あるいはどのように退屈か)について紹介しまくっている本なわけだが。
最初の2章で取り上げているのが、ヴァレリー・アファナシエフ、そしてイーヴォ・ポゴレリチ。て誰やねんそれ。あたしはクラシックってあんまり詳しくないから、あんまりマニアックな名前を出されてもわからんぞ。と思っていたら、著者いわく、アファナシエフは「子供に聴かせてはならないピアニスト」、ポゴレリチは「異常な領域に突入したピアニスト」っておい!なんでそんな変態じみたピアニストばっかり紹介する?!と突っ込みながらも、とにかく話が面白いのでがしがし読み進めていってしまうわけだな。
で3章の始めでは
2章続けてちょっと、いや相当変わったピアニストについて書いた。どうやら私は、ピアニストにしても指揮者にしても、あまり普通でないのが大好きなようで、油断していると、ついついそういった人ばかりを紹介してしまう。このまま書き続けると、「世界最高のピアニスト」というより「奇人変人ピアニスト列伝」になってしまいそうだ。
まあそれもいいのかもしれないが、このへんで普通にすばらしい演奏家についても述べておきたい。
…あんまり笑かさんとってください。まあとにかく、そういうわけでこの章からやっと「普通の」ピアニストであるケンプなどが紹介されはじめるわけだが。「ヘタと言われ続けた名ピアニスト」って、もうー。
全部で12人のピアニストが紹介されるが、名前を知っているのはそのうち半分以下かな?で実際に演奏も(CDでだけど)聴いたことあるのはケンプ、ポリーニ、アルゲリッチ、グールドぐらいか。
しかしアルゲリッチについての章はもう、「そうそう!そうなのよ!」と激しく同意できる感じで、いやあこのヒトなかなか鋭いなあ、と思ったものだ。
でも秀逸なのはやはり、終章「それ以外の名ピアニストたち」だろう。やれブーニンだアシュケナージだルービンシュタインだ、とビッグネームが次々に出てくるのだが、彼らを「それ以外」と、下手するとまるでその他大勢的扱いをしているのみならず、とにかく辛口のコメントでばっさばっさと撫で斬りにしていく様子はもう、呆れてものが言えない、というか痛快極まりないというか。
まとにかく、とても面白い本でしたな。
次は中川右介さんの「二十世紀の10大ピアニスト」をぜひ読んでみたい(ほんとは今回こっちを読むつもりだった)と思う次第なのであります。