野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

誤爆だっていいじゃないか

「近代の呪い」なんていうタイトルに目を引かれ、手に取って見ると著者は渡辺京二、ああレヴィ=ストロースの翻訳やった人だよな確か、と思って購入した。

近代の呪い (平凡社新書)

近代の呪い (平凡社新書)

いいえ違います。レヴィ=ストロースの翻訳をしたのは渡辺公三さんです。しまった勘違いだったか。
いま我々が当たり前だと思っていることっていうのは、決して普遍的に正しいものばかりではなく、せいぜい近代以降に作られたものであったりするのだ、てな話。
タイトルにもある「呪い」。近代のふたつの呪いとは、「インターステイトシステム」と「世界の人工化」である、と。経済のグローバル化国民国家を破壊する、と言われるし、そうだよな、と思っていた。実はその先があって、グローバル化による破壊に抵抗するために、ナショナリズムが台頭し、ネイション・ステートはより帝国主義的になっていく。これがインターステイトシステムという呪いだと(ちゃんと理解できているか自信ないけど)。そして、科学技術の発達は我々の暮らしを急激に向上させたのだけど、それはまさに自然からの一方的な収奪であり、いずれ破滅に向かう。これが「世界の人工化」という呪い。これはあれだな、実は「陰翳礼賛」の「懶惰の説」と同じようなことを言ってるな。
まあ、だからどうなんだと言われるとちょっとアレなのだけど… まさに近代へのアンビヴァレントな思い、ですな。