「近代の呪い」なんていうタイトルに目を引かれ、手に取って見ると著者は渡辺京二、ああレヴィ=ストロースの翻訳やった人だよな確か、と思って購入した。
- 作者: 渡辺京二
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2013/10/17
- メディア: 新書
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いま我々が当たり前だと思っていることっていうのは、決して普遍的に正しいものばかりではなく、せいぜい近代以降に作られたものであったりするのだ、てな話。
タイトルにもある「呪い」。近代のふたつの呪いとは、「インターステイトシステム」と「世界の人工化」である、と。経済のグローバル化は国民国家を破壊する、と言われるし、そうだよな、と思っていた。実はその先があって、グローバル化による破壊に抵抗するために、ナショナリズムが台頭し、ネイション・ステートはより帝国主義的になっていく。これがインターステイトシステムという呪いだと(ちゃんと理解できているか自信ないけど)。そして、科学技術の発達は我々の暮らしを急激に向上させたのだけど、それはまさに自然からの一方的な収奪であり、いずれ破滅に向かう。これが「世界の人工化」という呪い。これはあれだな、実は「陰翳礼賛」の「懶惰の説」と同じようなことを言ってるな。
まあ、だからどうなんだと言われるとちょっとアレなのだけど… まさに近代へのアンビヴァレントな思い、ですな。