野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

ひさしぶりにはてしないものがたり

空前絶後の超大作「グイン・サーガ」シリーズが完結しないままに、著者の栗本薫さんが亡くなってしまったのが2009年だから、もう5年も前のことだ。
享年56歳とのことで、早くに亡くなったのには違いないのだが、仮に90歳ぐらいまで生きていたとしても、どうもあの物語が完結するような気がしない。5万エーカーぐらいに広げた大風呂敷を、この後どうするんだいったい、と思ったものだが、栗本御大の遺志を継ぎ、その後を引き受けるという奇特な人が世の中にはちゃんといるものだ。
というわけで、第134巻「売国妃シルヴィア」なんてのが出ていたので、うーんこりゃどうしたもんかな、と思いながらもとりあえず読んでみた。

売国妃シルヴィア (グイン・サーガ134巻)

売国妃シルヴィア (グイン・サーガ134巻)

いや大したものだ、あの雰囲気というのは、ちゃんとそのまま再現されていると思う。コアなファンにとっては、色々と言いたいこともあるのかもしれないが、少なくともわたくしには御大が書いたものと区別がつかない。
しかしながら、「前回までのあらすじ」がどうもうまく思い出せない。まあ5年も前の話だから、とはいうものの、サイロンにネズミの大群が?とか、シルヴィアってまた行方不明?とか、そんな話あったかおい、ひょっとして外伝をちゃんと読まなアカンのか?(わたくし外伝はあまり読んでないのです)などと不審に思っていたら、何のことはない御大による正伝は130巻で終わりで、それからこの134巻までの間にすでに3巻も話が進んでしまっているわけだ。うわ、こいつは迂闊だった。しかしまあ今更3巻も遡って読むのもジャマくさいし、なんとなく話はわかるから、まあええか、などと横着なことを思っているところだ。