野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

さいきん呪いばっかりで

「呪いの時代」が文庫になっている。

呪いの時代 (新潮文庫)

呪いの時代 (新潮文庫)

どうにも気に入らないのだけど、何がどう間違っているのが、うまく説明できない。そういうもやっとする事が世の中には溢れているのだけど、それらを実に見事に言語化し、思わぬところから引いてきた知見と結合させ、さらに「えっ、そうなのか!?」と驚いてしまうような卓見に発展させ、最後になるほどねぇ、と深く納得させられる。これが内田せんせのテクストの魅力だと思うのだなわたくしは。
テクノロジーの発展は、それ自身がまたテクノロジーの発展を加速する。今まで人間の暮らしを便利に快適にしてきたはずのものが、あるところを超えると、うまく制御できなくなる。「あるところ」というのは、たぶん「生身の人間が把握できる」レベル、つまりヒューマンスケールというか。それを超えると身体性を失い、色んなことが記号として扱われるようになり、そこから「呪い」が生まれる。原発とかグローバル資本主義とか。いや別にそんなことは書いてないかもしれないけど、なんかそういうふうに考えてしまったですよ。