野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

米朝師匠追悼公演

茨木市内某所にて行われる、桂吉弥さんの落語会へ行ってきた。
米朝師匠の訃報が伝えられた翌週のことである。前座はいつも通り弟子の弥っこ君による「ふぐ鍋」、その後は吉弥さんにより、生前の米朝師が得意としたという「はてなの茶碗」と「胴乱の幸助」の二席。マクラには米朝師の思い出話が語られる。
実はこの落語会、まさに米朝師の亡くなった翌日にも行われている。こういうことはいずれ起こるのだから、それを理由に仕事をキャンセルしたりしてはならない、という師匠からのお達しであったらしい。吉弥さんもマクラで、「米朝は亡くなりましたが私は生きておりますんで」とカマして聴衆を沸かせている。まことにプロフェッショナルなんである。
さて「はてなの茶碗」、わたくしのとても好きな噺のひとつである。やはりあの、最初は固辞しながらも押し問答の末に結局は「さよか…」と茶金さんから茶碗の代金(最初は三両、二度目は千両)を受け取る油屋の葛藤。これがこの噺の白眉であるとわたくしは思う。さすがは吉弥さん、まことにこれがエエんですなぁ。
そして「胴乱の幸助」、ストーリーは知っていたが実際に聴くのは初めてだった。これがまた実に面白い。本人は一所懸命なのだけどどこかズレている、こういうキャラクターの味わいが、やはり古典落語の魅力であるなあと思うのだ。
あらためて、米朝師匠のご冥福を心よりお祈り申し上げる次第である。