ここ数年、イスラム関連の書籍が急激に増えてきたと思う。特に昨年からはISことイスラム国がらみのネタが掃いて捨てるほど出ている。いろいろある中で、わりと手軽そうなものを、ということで「イスラム国の正体」に手を出してみた。
- 作者: 国枝昌樹
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2015/01/28
- メディア: Kindle版
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イスラム国というのは、通常の「国家」の定義からは外れている。だから「国」と名乗るのは正しくない。また、やっていることはイスラムの教義を踏み外しており、正統なイスラム教のコミュニティからは「お前らイスラム言うな」と言われている。彼らにしてみたら「あいつらと一緒にせんといてくれ」てなもんだ。
ではいったいイスラム国とは何なのか。まあ言ってみれば、インチキカルト集団といったところだろう。根拠とする教義の恣意的な解釈と暴力性、広報宣伝とリクルート活動の巧みさという点ではオウム真理教や五斗米道と本質的に同じである。って五斗米道についてはあんまりよくわからないけど。適当なこと言ってすんません。
とにかく、本質的にそれらのカルト集団と同じでありながら、圧倒的に違うのはやはりテクノロジー、とくにICTの活用だろう。これで彼らの影響力は世界規模のものになっている。
それでも、本格的に訓練を積んだ武装組織というわけではないのでいずれ鎮圧されるであろう、というのが著者の見立てであるが、一方で、今後第2、第3のイスラム国が出現してくる可能性についても指摘している。まことに気の滅入る話である。