Kindleストアが『問題は英国ではない、EUなのだ』などという本を勧めてきた。ほう、トッドがBrexitについて語るというわけか。それは読んでみなければなりますまい。
問題は英国ではない、EUなのだ 21世紀の新・国家論 (文春新書)
- 作者: エマニュエル・トッド
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2016/09/23
- メディア: Kindle版
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トッドの本は前記の『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる』と先日の『シャルリとは誰か?』ぐらいしか読んでないが、いずれもけっこう難しく、なかなか読むのに骨が折れた。これはいろいろなテーマに関するトッドへのインタビューをまとめたもので、比較的読みやすい。テーマはBrexitだけでなく、中国の将来について、中東の危機、パリでの同時多発テロ(そして『シャルリとは誰か?』の解説)、など多岐にわたる。が、いずれにも通底するテーマというのが、「グローバリゼーションの終焉」だ。グローバリゼーション、そしてネオリベラリズムについてもういい加減みんなうんざりして、疲れ始めている。これをトッドは「グローバリゼーション・ファティーグ」と名付け、これにより世界で起こっている諸々について解説するわけだ。Brexitもそのひとつの表れであると。
人口の動き、そして家族構造をもとに社会現象を読み解き、また将来を予測するというトッド独特の手法が興味深い。全部で150ページほどのボリュームながら、かなり盛りだくさんの内容で、少しばかり消化不良だが大変に読み応えがあった。実は同じトッドの『グローバリズム以降』というのもオススメされている。こちらも読んでみなければならない。なかなか忙しいことだ。