マイケル・ポーターの『IoT時代の競争戦略』という論文を掲載し、IoTを特集した2015年4月の『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』は売り切れになったらしい。その特集に、さらにポーターの『IoT時代の製造業』という論文を追加し、『IoTの衝撃』という書籍として売り出したダイヤモンド社、なかなか商売上手やないの。
IoTの衝撃―――競合が変わる、ビジネスモデルが変わる (Harvard Business Review)
- 作者: DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2016/09/30
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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しかしまあ何ですな、ポーターなんてもう古いぜ、なんて言われたりもするけど、それでもこうやって目先を変えれば雑誌が売り切れになるくらいに注目を集めるんですな。それはもちろんポーターの手柄だけではなく、そっち系の人々のIoTに対する関心の強さによるところも大きいわけで。これ別に競争戦略論として新しい枠組みを提唱しているわけではなくて、ポーターのFive ForcesフレームにIoTというファクターを入れるとどうなるか、て話なので、それを論ずるのは別にポーターでなくても良いと思うのだけど。それでも、その競争戦略論の始祖であるポーターが語るからこそ説得力があるんですかね。知らんけど。これだけ環境・前提条件が激変した現代においても、まだ十分に使えるぐらいにポーターの競争戦略論は出来が良いんだぜ、というポーター自身によるアピールなんかな。でないと、間違った解釈と使い方をしておきながら「IoTによってゲームのルールが変わる、もうポーターの競争戦略論は古い」なんて言う、ちょっと落ち着きのないやつが出てきそうだもんな。
読みながら、そりゃまあそうですわねぇ、とか、はぁなるほどそういうふうになるんですねぇ、などと思うものの特に興奮するような話ではなく、正直なかなか頭に入ってこない、というのがこの本全体を通しての印象だった。まあ基本的に「論文」なので、わたくしの頭が、あまりそういうものを読むのに向いてない。ということなんでしょうねぇ、残念なことに。