朝日新聞で、トマ・ピケティの連載が始まった。
まあ実際にはリベラシオン紙の連載の抄訳であるらしいが、それでもやはり、さすがは「ロック・スターのような経済学者」と言われるだけのことはある。ほうほう、と思って読んでみたのだが、なんというか、ちと文章がこなれていない感じでいまいち内容が頭に入りづらい。これは、翻訳に問題があるのか、それともピケティ自身がそういう文章を書く人なのか、あるいはその両方か。ひょっとすると、俺様の知性の不調、ということを原因のひとつとして指摘する向きもあるかもしれんが、それはあらかじめ可能性から排除することにする。
例の「21世紀の資本論」は6000円ちかくもするぶっとい本であるにもかかわらず、よく売れているらしい。いったい誰が読んでいるのだろう。あの本そのもの以外にも解説本が多く出ていて、まったく上手いこと便乗して商売する目はしの利く連中がいるものだなと感心する。まあ昔から、名著と言われながらもいきなり手に取るにはハードルの高そうな本、例えば「失敗の本質」とかドラッカーの「マネジメント」とかポーターの「競争戦略論」であるとかは、多くの解説本が出ている。わたくしどうも根性が曲がっているせいか、そういう解説本に手を出すのが癪にさわるので、ついついいきなり本丸に突撃しては玉砕するということをよくわらかしてしまう。で実は最近、「21世紀の資本論」に手を出したくてうずうずしている。値段がそれなりにするので、まだなんとか思いとどまっているけれども。それにまだチャーチルの「第二次世界大戦」が2巻の途中までしか読めてないし、フーコーの「知の考古学」が文庫化されている。「あしたのジョー」もまだ8巻までしか読んでない。
ものごとには順番というものがあるのだ。まず足もとのあれこれを片付けてからその先のことを考えた方が良い。