- 作者: 宮城谷昌光
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2012/10/10
- メディア: 文庫
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それを知って今度は劉備が激怒する。
孫権は呂蒙をつかって公安と江陵をだまし取った。荊州三郡は劉備の支配とすると認めておきながら、関羽が魏軍と戦っているのに、それを援けもせず、密かに魏に通じて関羽不在の郡を盗み取った。これほど悪辣な者が海内のどこにいようか。(p.257)
などと息巻いているわけだが、実にこう、盗人猛々しいというか、お前が言うな、と思わずにはいられない。
挙句に、周りが止めるのを聞かず無謀な孫権征伐をやらかしてしまうわけで、関羽を殺されて孫権憎しとなり、正常な判断力を失っている状態ですわな。まあ迷惑な話である。『ゴッドファーザー part III』でも、アル・パチーノが"Don't hate your enemies. It clouds your judgement."(敵を憎むな。判断力が鈍くなる。)と息子に説教していたが、まさにそういう状態だ。で結局はボロ負けして逃げ帰ってきて(逃げるのは得意だ)、白帝城に引きこもったまま病死してしまうと。
一方で曹操。こちらも病死してしまう。後を継いだのは曹丕だが、どうも宮城谷さん曹丕については評価が厳しく、ことあるごとに曹操と比較しては軽くディスっている。そんなことされたらグレてしまうで、と曹丕もちょっと気の毒なように思える。
さて関羽も曹操も劉備もみんな死んでしまって、でも実はここからが本当の三国時代。これからの主役は諸葛亮と司馬懿あたりかな。残すところあと4巻。どんな話になりますやら。