『騎士団長殺し』もあっという間に第2部『遷ろうメタファー編』の後編になだれ込んでしまった。
騎士団長殺し 第2部: 遷ろうメタファー編(下) (新潮文庫)
- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2019/03/28
- メディア: 文庫
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主人公が友人の雨田政彦が運転するボルボに乗ると、80年代のヒットソングがカセットテープで再生されていた。
「しかし、この人生でもう一度、ABCの『ルック・オブ・ラブ』を聴くことになるとは思わなかったな」
雨田は怪訝そうな顔で私を見た。「良い曲じゃないか」と彼は言った。
(pp.26-27)
良い曲じゃないか。“The Lexicon Of Love”は名盤だと思うよ。第1部の前編で「私」がプジョー205でCDで聴いていたシェリル・クロウの“Tuesday Night Music Club“と同じくらいにね。
最後まで読み終わった感想としては、そうだな、まあ村上作品にしてはけっこうちゃんと伏線が回収されているし、「アレはいったい何だったんだ?」とか「それは結局のところ、どういう意味なの?」というのが比較的少なめ、と言えるんじゃなかろうか。もちろんそれは「当社比」、つまり「従来の村上作品と比べてみれば」ということであって、世間一般の水準で考えれば、「何それ?」と当惑する部分はかなりある。それでもやっぱり、いや、だからこそ(?)面白いんだよなあ。