野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

キャラメルコーンとかな

そういえば昨年だったか『ハゲタカ』がドラマ化されてたけども、あれって確かもっと前にもすでにドラマになっていて、そのリメイクなのよな。ちょっと気にはなるけどまだ原作を読んだことがない。そろそろ読んどくか、と思いつつ一年近く経ってやっと手を出した。

読んだのは新装版だがオリジナル版が出たのは2004年。実はもっと古い話なのだと思っていたけど、まあ山一證券が破綻したのが1997年なわけだし、当然それよりは後だわな。タイトルのハゲタカってのはもちろん、いわゆるところのハゲタカファンドの話で、経営破綻しかけた企業の債権を買い叩き、しかるのちにその企業の資産を高値で売り抜くことにより利ざやを稼ぐ、その様子があたかも屍肉に群がるハゲタカのようであることからハゲタカファンドと呼ばれているわけですな。
いや実は学術的にはハゲタカという動物は存在せず、ハゲワシ類またはコンドル類の俗称であるらしいが、まあその辺はどうでもよくて。いわゆるハゲタカファンドというのはあまり評判が芳しくはないわけだけども、では彼らが具体的にどんなことをやっているのかというと、実はあまり知らなかったりする。でこの小説を読んでみて、その内容を真に受けるとするならば、彼らのやっているのは企業の再生、なわけですな。潰れかけの会社を再建する、と。何やそれ、エエことやってるやんと思ってしまうが、主人公の鷲津くんの主張もそう言うことだ。
お約束通りといえばそれまでだが、本の最後にいけしゃあしゃあと「本作品はフィクションであり、実在の人物、企業、団体などとはいっさい関係ありません」などと断っている。「嘘つけ!」と全力で突っ込みたくなる。そりゃ確かに、「そのまんま」の名前は出てこないけど、そんなの知ってる人が見たら丸わかりでしょうがあんた。「メリレ・リンク」とか大手食品メーカー「ナブスコ」とかスーパーの「ダイコー」とかその辺のネーミングセンスには、安モンのハードボイルドみたいな鷲津くんの言動もあいまって、何だかもう泣けてきますな。けども、かなり面白い小説だ。

ところで鷲津くんがええ歳こいてポルシェで中禅寺湖に向かういろは坂のワインディングを攻める時のBGMがマイルスの『死刑台のエレベーター』で、わざわざ『ドライブウェイのスリル』(Sur L’Autoruoute)を選んでいたりする。そういうあたりがもう、何だかなあ、と思うのはまあ置いとくとして、この『ドライブウェイのスリル』は3曲目で中禅寺湖についた時にはすでに5曲目の『シャンゼリゼを歩むフロランス』(Florence Sur Les Champs-Elysees)だった、てことになっている。けどウチにあるCDでは“Sur L'Autoroute”は19曲目で、“Florence Sur Les Champs-Elysees”は21曲目になっている。鷲津くんの聴いてるのはオリジナルのアナログLPの曲順だぜそれ。ひょっとして、CD2枚組のDelux Editionてか。

ASCENSEUR POUR L'ECHAF

ASCENSEUR POUR L'ECHAF

さすが、ニューヨークでジャズピアニストを目指してた人はやることが違いますなあ。