野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

骨を道路に捨てるな

つい先日アカデミー賞が発表された関係で、WOWOWでは過去の受賞作品をあれこれオンエアしている。
もちろん昨年の受賞作『グリーン・ブック』もやっているわけだ。

グリーンブック [Blu-ray]

グリーンブック [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ギャガ
  • 発売日: 2019/10/02
  • メディア: Blu-ray
レイシストのチンピラ白人トニー・リップがスノビッシュな黒人ピアニストであるドン・シャーリーに雇われ、運転手としてアメリカ南部をツアーで回るってな話。1962年の設定だから、南部なんて黒人差別もバリバリにあるわけで。
トニーはチンピラだけどもシャーリーの弾くピアノの良さは何となくわかる。そして、こいつは天才だってんでそこはきっちりリスペクトしている。だいたいトニーって白人とはいえイタリア系で、状況によっては差別される側に回ったりするのだよ。そしてシャーリーも、黒人だけども金と教養があり、またゲイでもあるため一捻り加えたマイノリティであって、より話はややこしい。
そういえば『グラン・トリノ』も、主役のウォルトはレイシストで、東洋人を「米食い虫め」と軽蔑するが、自身もまた石頭のポーランドじじいだったりしたな。そして結局はモン族(中国の少数民族らしい)の少年タオと仲良くなるのだ。それ以前に、イカレイタ公と酔いどれアイリッシュ野郎の友人たちとつるむ様子がまたなかなか楽しかったりもする。
トニーはアホだしブルシットな事ばかり垂れ流してるけど、決して悪い奴じゃない。全編を通してシャーリーとの会話が、なかなか楽しい。でもフライドチキンを食べた手でそのまま車のハンドルを握るのはやめてほしいな。
いや、面白い映画だった。さすがアカデミー賞受賞作、て感じがしますわな。