野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

DON’T BELIEVE HIS LIES

日曜日の夜に『メメント』を観た。WOWOWクリストファー・ノーラン祭りをやっているのだ。

かなり久しぶりだ。20年ぶりぐらいだろうか。
短期の記憶ができない、つまり10分ほど前のことを片っ端から忘れていく男の話だ。というのは覚えていたが、その他の細かい内容についてはさっぱり。
そもそも話がわかりにくいのだ。一連の出来事を逆にたどりながら、物語の真相に近付いていくのだが、それぞれのフラグメントにおける時間は順方向に流れているからだ。そういえば『レザボア・ドッグス』もこんな造りじゃなかったか。
主人公のレナードは、自身の短期記憶に障害があることを自覚しているため、重要な情報についてはポラロイドで写真を撮り、自分の身体にタトゥーでメモしていく。ところがその記録も、自分の都合の良いように改変したり、消去したり、あるいはちょっとしたエラーが紛れ込んだりもする。そんな断片を繋ぎ合わせていくと、おいおいそんな話になっちまうのかよぐらいにねじ曲がったものが出来上がったりもする。でもこういう記憶の改竄・捏造・隠蔽って、普通の人間もけっこう無意識のうちにやってるよなあ、とも思う。
そして、とにかく複雑な展開なので、一所懸命に観ていると、だんだんとこちらの正気が失われていくような気分にもなる。
結局、真相はどうなのか。実際には何が起こったのか、についてはよくわからない。なんだかすごい映画だなあ。