Twitterで、ギャビン・ライアルの『最も危険なゲーム』についてのツイートを見かけた。
歯医者の行き帰りはギャビン・ライアルの『最も危険なゲーム』。コロナのせいで年末年始の楽しいイベントがあらかた飛んでしまったので暮れに「じゃあ、冒険小説でも読むか」とロフトの書架の奥から引き出してきた『深夜プラス1』を読み出したらやっぱり面白過ぎて、以後「ライアル漬け」です。
— 内田樹 (@levinassien) 2023年1月12日
こういう「ちょっと年取って疲れてきたタフガイ(アル中まであと二歩)の英国男」が窮地に陥ったときに辛辣かつ愉快な憎まれ口をきくという会話を書かせるとギャビン・ライアルは世界一ですね。
— 内田樹 (@levinassien) 2023年1月12日
こういう「半分やくざ半分紳士、半分職人半分インテリ」みたいな独特な英国男を造形できる作家はもういなくなってしまったのかなあ。
— 内田樹 (@levinassien) 2023年1月12日
恥ずかしながらギャビン・ライアルという作家も、『最も危険なゲーム』という小説についても初めて知った。
でも『深夜プラス1』はどこかで聞いたような気もするな。
無性に『最も危険なゲーム』を読んでみたくなったのだけど、残念ながらKindleにはなってない。そもそも紙の本が絶版になっている。
仕方がないので、まずはKindleストアにある『深夜プラス1』を購入。何やら警察と犯罪者の両方から追われている、マガンハルトという金持ちを、ブルターニュからリヒテンシュタインまで送り届ける、という話。
つまり運び屋だ。運び屋、となると連想してしまうのが、映画『トランスポーター』。なので、主役の「エージェント」であるルイス・ケインのビジュアルがどうしてもジェイソン・ステイサムになってしまう。小説の中にはスキンヘッドなんていう記述は一切ない(というか頭髪について言及されていたはず)にもかかわらず。
ちなみにケインは昔、第二次世界大戦中のレジスタンスの工作員であった、という設定。
このあたりに時代を感じる。古い小説なのだ。
おっさん一人を車で運ぶだけならどってことない話のはずだが、おっさんだけでなく秘書までついてくるし、さらに元シークレット・サービスのガンマン、ハーヴェイ・ロヴェルが同行するってなことになり、何やらややこしいことになりそうだなと思っていると、輸送に使う車をケインがピックアップしたら、中でドライバーが死んでいたりする。おまけにハーヴェイ・ロヴェルは実はアル中だ。
そんなわけで、当然すんなりとマガンハルトをリヒテンシュタインまで送り届けられるはずがない。まあそうでないと小説として成り立たないわけだが。
次から次へと、殺し屋や警察や謎のジジイまで絡んできて話はどんどんダイハード化し、ケインが禁止したにも関わらずロヴェルは酒飲んで使い物にならなくなるし、まあ大変。いや面白かった。