『黒祠の島』を読んだ。
そもそも「黒祠」って何だ?そんな言葉初めて聞いたぞ、と思うのだが、この小説の中では以下のように説明されている。明治政府が行った祭政一致政策によって、全国の神社は位階制で編成され、祭神も正統な神典に記載される神々に改められた。地方の小祠も統合されたり、弾圧されるなどしたが、その中で統合されなかったものを「黒祠」と言う。いわゆる邪教である。
つまり邪教の島だ。主人公の式部はそんな島に、失踪した作家を探してやってくる。
まあとにかくおどろおどろしい話だ。心霊系ではないけど、かなりのスプラッター。
ライターや作家の依頼を受けて取材の補助を行う調査会社をやっている式部が、やけに神社やら仏像やら陰陽五行説、はては中国の伝説にまで詳しいってのはちょっと不自然な気もする。何やねん解豸って。
ひょっとして、この式部の知識を活かして様々な事件の謎を解く「式部シリーズ」みたいなことを狙ってたりするんじゃないか、と邪推してみたりする。今のところ、他に式部が登場する作品は無いようだけど。
それにしてもこの小説の設定にあるような、「因習に支配された邪教の島」なんてのも、まだけっこうありそうな気はするな。おお怖い。