さてついに「日本沈没」の下巻を読み終わったわけだけど、前に2回も読んでるにもかかわらず、本当になーんにも覚えてなかったなあ。ちなみに最初に読んだのは角川文庫で、2回目は双葉社文庫。いずれも今は入手不可能。今回も10年前の双葉社文庫で読んだ。昔の角川文庫には小松左京の小説がたくさんあったのに、今はさっぱり。古本以外ではもう読めないという事か?
- 作者: 小松左京
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2005/12/06
- メディア: 文庫
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それにしてもこの小説のすごいのは、「日本が沈没する」ということに対して実にまぁきっちりと、こういう原理でこうなって、こんな事がおこる、と事細かに書いてるっていうところかと思う。「もし日本の近辺でこんな地殻変動が起こったら、日本は沈没してしまうかもしれない、その原理はこうなっている」っていうことね。普通ならそんな理屈をごちゃごちゃ書いたりはしないと思うのだけど。ただ、そんな事を詳しく書かれても、よくわかりませんから。で、「日本が沈没することになってみんなは大騒ぎでした」だけじゃなくて、「もし日本が無くなったら、周辺各国はおそらくこういう行動をとり、極東アジア地域のパワーバランスはこうなる」というある種のシミュレーションもやられてるわけだ。それも経済・政治・軍事、あらゆる分野にわたって。だから、読みごたえはあるが、一方ではちょっと疲れる。
こういうのって、何万年、何十万年っていうタイムスケールでみれば、別に荒唐無稽なホラ話でもなんでもなく、いくらでも起こりうる事なんだな。人間の文明が成り立つための基盤っていうのは、どうやら実はものすごく脆弱なものらしい。ほんの数千年後でも、地磁気が弱くなって宇宙線がそのまま降り注ぐようになり、人間は住めなくなってしまう、とかいうし。地球温暖化防止、とかいって日々色々と頭を悩ますのがバカらしくなってくる。まああまり考えすぎないほうが良いかな。