野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

異端審問

グレン・グールドが弾くバッハの「平均律クラヴィーア」を聴きながら、この曲の正統派による演奏っていったいどんな感じなんだろう、とふと思った。もちろんグールドも名盤と言われているが、これってやっぱりちょっと異端なんじゃないのかなという気がするのだな。
でちょっと調べてみると、スビャトスラフ・リヒテルが良さげ。ということで10日ほど前に注文しておいたのだ。

The Well Tempered Clavier Das Wohltemperierte Klavier

The Well Tempered Clavier Das Wohltemperierte Klavier


第1集と第2集をあわせた4枚組。これで2,899円だから、まあお買い得と言ってよろしかろう。帰ったら届いていたので、さっそく聴いてみた。
まず、音そのものがグールドと比べてずいぶん違う。グールドはかなりデッドな印象なのに対し、リヒテルは残響たっぷりめで、どこか遠くの方で柔らかく鳴っている感じ。テンポも何が正解なのかはよくわからないけれども、やはりリヒテルの方が、やっぱりその解釈が普通だよな、という気がする。グールドって、速く弾くべきものを冗談みたいにゆっくりと、ゆっくりと弾くべきものを爆速で弾くという思い込みもあるのかも知れないけど、それを差し引いてもなお、リヒテルの方がマトモなように思えるのよな。とりあえず、リヒテル版の方が聴いてて心地良い。たぶんこれを聴きこんで、ちょっと飽きてきたころにグールド版を聴くと、斬新に聞こえて楽しめるんだろう。知らんけど。