読むべきタイミングを逃してはいけない本、というのがあると思う。最近各方面で話題になっている「日本会議の研究」もそのうちの一冊なんじゃなかろうか。幸いにしてKindle版もあるようだし、というわけで。
- 作者: 菅野完
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2016/06/10
- メディア: Kindle版
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何でこんなにヤバくなったのか。某総理大臣が「じっちゃんの名にかけて!」とか言ってるだけではここまではならないはずだ。あの人どう見てもあんまり賢そうじゃないし。日本版ゲッベルスと呼ばれる官房長官を始めとして、周りにかなりの知恵者が揃っているというのもあるけど、実はそこで隠然たる影響力を持つのが「日本会議」というやつであるらしい。でこの日本会議をサポートする議員によって構成されるのが日本会議国会議員懇談会。某総理大臣はもちろんのこと、現内閣のメンバーのうちかなり(19人中15人)が、この「懇談会」のメンバーだというのだからただ事ではない。ではその日本会議というのは一体何かのか。というのをじっくりと調査・研究したのがこの本だ。まさに「研究」である。その綿密な調査内容に圧倒される。
日本会議は、70年代の「生長の家学生運動」の闘士たちが、ある時点から路線を変更してしまった「生長の家」と袂を分かち、オリジナルの教義の一部を原理主義的に奉じて、これに基づいた日本国のあるべき姿について、その実現に向けて草の根的な運動を続けていった集団であるという。5年とか10年なんてもんじゃない。かれこれ40以上年もやっているというのだから恐れ入る。で実は、世間に見えている日本会議やら日本政策研究センターなどを仕切っている人物たちとは別に、この長年の活動をリードしてきた、稀代のカリスマにしてフィクサーが存在する、なんて話を読むと、もうなんだか安物のハリウッド映画かよと言いたくなるが、これがどうも本当の話らしいっていうんだから、びっくりするのを通り越して背筋が寒くなる。
雌伏していたリトル・ピープルたちがいよいよ復活の時を得て、ビッグ・ブラザーになろうとしている、そんな感じだ。何とかして止めてもらえませんか、お願いですから。