野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

KYな感想でスマンかった

『失敗の本質』と並んで、よく取り上げられる『「空気」の研究』。まあこれも一度ぐらいは読んどくか、ということで。

「空気」の研究

「空気」の研究


第二次世界大戦において、どう見ても無謀としか思えない戦艦大和の沖縄出撃命令は、なぜ下されたのか。
いやまあ無謀なのは重々承知してたんだけども、あの時の空気では、そうせざるを得なかったんで…
はぁ?何その「空気」って?
というのが、この本のお題ですな。
うん、今でもやっぱり我々は「空気」を大事にしている。その「空気」を読めないやつは、「KY」であるとして疎んじられ、時には露骨に迫害されたりもする。
その空気とはいったい何なのか。
決定を下すのは「空気」であり、空気が醸成される原理原則は、対象の臨在感的把握である。そして臨在感的把握の原則は、対象への一方的な感情移入による自己と対象の一体化であり、対象への分析を拒否する心的態度である。
だそうです。ええと、臨在感的把握って?いろいろ説明されている内容を読むに、ある種のフェティッシュ、偶像崇拝みたいなもののように解釈したのだけど、それがどのように「空気の醸成」につながるのかは、残念ながらわたくしのアタマではもひとつ理解できなかった。
さらに『「空気」の研究』に続く『「水=通常性」の研究』においては、物事の善悪が絶対的に決まる西洋の倫理に対置して、情況に応じて善悪あるいは是非がゆらぐという日本的な「情況倫理」について論じられる。うんまあ確かにそういうのを日本的っていうのはわからんでもないけど、西洋だってそんな何でもかんでもクリアカットじゃないでしょ?だったら「トロッコ問題」なんてそもそも出てこないんでは?などと、読みながらずっとモヤモヤして、結局は「どうにも納得のいかない一冊」となったことでありました。あ、でもアプローチは面白いと思います。ちょっと独特のメタファーもね。
もう少しアタマを冷やしてから改めて読まないと、どうもうまく飲み込めませんなこれは。