野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

マリコは存在しない

驚いたことに、また北大路公子大先生の新作が出ているではないですか。おかしい。何かがおかしい。あんなにおビールを飲んで、テレビドラマに文句をつけて、相撲を見て、夜中にものを食べて、Twitterで「仕事したくない」とつぶやいているというのに、前作からほんの数ヶ月でもう新作が出るとは。

私のことはほっといてください (PHP文芸文庫)

私のことはほっといてください (PHP文芸文庫)

ひょっとすると、担当編集者Yさんからの原稿督促の電話に対して「今度はYさんが書く番」と言い放ったあの斬新なアイデアは、あっさり却下されたように見えてその実は、裏で密約が交わされ、本当にYさんが書いていたりはしないだろうか…
そうなると気になって仕方がない。いくら『私のことはほっといてください』と言われようが、そりゃ読まずにはいられないでしょうが。
でまあ、アレだ。わたくしの見立てによれば、これはやはりケメ子先生ご自身による著作であるな。そうでなければ、洗面所のパイプ修理を思いもかけないカタストロフィに変えてしまう父親であるとか、Facebookのなりすましアカウントとの死闘であるとか、納豆のパッケージ開封から実際に食すまでに立ちはだかる数々の試練、といったような日常の些事から、あれほど奇想天外にしてスケールの大きな物語は生まれてこないだろう。いや、担当編集者Yさんのテクストもかなり面白いのだけど、やはりこう、次元が違うとしか申し上げようがない。
疑ってすみませんでした。ごめんなさい。