野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

看板に偽りあり

昼間に外を歩くにはまだちょっと暑いよな、と思いつつ国立国際美術館の『ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道』へ行くことにした。
梅田から中之島まではそこそこ距離がある。会場に一番近いのは京阪の渡辺橋駅だ。ということで、阪急京都線を南方で降り、御堂筋線淀屋橋まで行き、そして京阪に乗り換える。というルートを取ることにした。
家を出たのは昼過ぎ。ちなみに起きた時間が遅く、朝食を摂ったのも10時を回っていたのだが、思ったより早くに腹が減ってきた。
南方あたりで食べれば良いかな、と思っていたのだが、意外と適当な店が無い。仕方がないのでとりあえず淀屋橋まで行ってみたが、んなもん南方以上に店が無い。参ったねこりゃ、と京阪に乗りつつ調べると、渡辺橋で降りたら中之島ダイビルにはいくつかの飲食店があるようだ。その中に「世界一暇なラーメン屋」というのがあった。最初は、昨日麻婆麺を食べたところだしラーメンは避けよう、と思っていたのだが、背に腹は代えられない。よっしゃラーメン食うてこましたろ、餃子もつけて、などと思いながら件の店へ行ってみたら、なんと店の前に行列が。もう午後2時を回っているというのに。
くっそーすっかり騙された。そんな何十人も待ってるなんて、話ちゃうやんけ!「世界一暇」なんてふざけた名前つけやがって(それを真に受ける方もどうかと思うが)!こっちはもうすっかりラーメンの口になってるのに!!と憤慨しつつラーメンは断念し国際美術館へ向かうことにした。確か美術館の中にはレストランがあったはず。
で、美術館に到着しレストランへ行ってみたら、満席てあんた…
ざけんなコラ、と怒りつつ、美術館の向かいにある中之島食堂へ行くと、14時半で閉店ときたもんだ(行ったのは15時少し前)。世の中の全てを呪いつつ周辺を少し歩き回ってみると、川沿いにNORTHSHOREという、なんだかオサレげなカフェがある。うーむ何だかいけ好かない感じだが、致し方なかろう、ということで入ってみた。こういうカフェにありがちな、ワンプレートランチがメニューにある。けっ、おおかたそんなところだろうと思ったぜ、と荒んだ気持ちで「フリフリグリルチキン」(また何ちゅう名前やねん)のランチを注文した。

やっぱりな、という感じで、ライスとスープがメイソンジャーに入って出てくる。な、そういうところがいけ好かん、ちゅうことやねん。ライスがまた玄米だったりして、このいかにもヘルシーでしょー、てなあたりが小賢しい。などと毒づきながら食べてみたら意外と美味かったりして、それがまた何だか口惜しい。それでもとりあえずお腹を満たしたら、ささくれた気分も少しは和らいで、やっと絵など眺める余裕が出てきた。

さて今回の『ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道』、ウィーンミュージアムが改装工事をやる間に貸し出されたコレクションの展示なんだそうで。
タイトルに名前が入ってるし、ポスターにはクリムトの絵を使ってたりするから、クリムトやシーレの絵をがっつり観られると期待して行った人は、展示の中で彼らの作品はごく一部なので、ちょっとがっくりするんじゃなかろうか。
「エミーリエ・フレーゲの肖像」のみ、写真撮影可。

あとは、「パラス・アテナ」(こっちの方が好み)と、初期作品の寓意画5点、そしてデッサンが9点。シーレは自画像を含め10点ちょいぐらい。
わたくしの本命は同時開催の常設企画展『ジャコメッティと II』だから別にええもんね、と思いつつ観たら、こっちは『ウィーン・モダン』以上にジャコメッティ作品は無い。彫刻2点と、あとは制作風景を撮影した写真だ。うーむ、してやられたか。まあ常設展示もけっこう面白いけどね…
『ウィーン・モダン』はクリムト、シーレ以外にも、ウィーン工房のグラフィック作品がけっこう好みだった。あとココシュカもたぶん初めて観たけど、なかなかパワフルで良かった。そうそう、シェーンベルクって絵も描いていたのだな。ベルクの肖像画なんてのもあって、なかなか面白かった。

少し前に東京でもクリムト展をやっていて、それが大阪にもやって来たのだ、ぐらいに思っていたが、あれは、実はいま豊田市美術館で『クリムト展 ウィーンと日本 1900』として10/14まで展示されている。こちらは「国内過去最大級」の点数が展示されている、とのことだ。それはつまり、めぼしい作品はみんなそっちに行ってしまっているということではないのか(←今ごろ気づいてどうする)。
覚えとけよコラ。