新潮文庫、今月の新刊は村上春樹の「東京奇譚集」。ええ、もちろん即買いで読みましたとも。
- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/11
- メディア: 文庫
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ええと、最初のほうに書かれていた「これまでに体験した不思議な出来事」って、後の方に出てくる色んな話じゃないよね?後の方は創作よね?いくらなんでも。猿は人の言葉を喋らないもんな。
人語を操る猿が登場する「品川猿」、それだけいうと何じゃそらだが、この短編はなんだかすごく「ノルウェイの森」の雰囲気がある。これに劣らず、その他の4編もみんな素晴らしい。コンパクトな村上ワールド。珠玉の短編集と言えるのではありますまいか。
「どこであれそれが見つかりそうな場所で」から
女は顔をしかめ、深く息をつき、何も言わず封筒をパースに戻した。そして膨らみと落ち着きを取り戻したルイ・ヴィトンのパースを、もとあった場所に戻した。それからまた鼻梁に手をやり、まるで棒を投げても取りに行かない犬を見るような目で私を見た。
「棒を投げても取りに行かない犬を見るような目」て。参ったねこりゃ。
そして、「偶然の旅人」には、おなじみスズキのグリルとクレソンのサラダが登場。「ハードボイルド・ワンダーランド」で読んで以来ずっと気になって、一度食べてみたいのがこのスズキのグリルだ。まあそんなことはどうでも良いか。
来年の春には「ティファニーで朝食を」の村上版が刊行予定だそうで、これまた楽しみ。