野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

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臨死体験」、読み終わりました。

臨死体験〈下〉 (文春文庫)

臨死体験〈下〉 (文春文庫)


実に膨大な取材例や文献をもとにいろいろと考察を重ねていくわけだが、やはりポイントは、臨死体験に対して「現実体験説」と「脳内体験説」のどちらの立場をとるか、というところかと思う。面白いのは、「ウィリアム・ジェームズの法則」だ。これはつまり、超常現象(この場合は臨死体験に対する「現実体験説」派の解釈)の証明には本質的に限界がある、超常現象を信じたい人にとっては信じるに十分であるが、信じたくない人にとっては否定するに十分な曖昧さが残る、常にちょうどそういうレベルの証拠しか出てこない、という法則なのだそうだ。なるほどこの本に出てくる諸々の事例は、まさにこの法則を裏付けるものばかりだ。
立花氏は結局どういう立場かというと、基本的には脳内現象説、だけど現実体験説も捨てきれない、というあたり。うーん、この本に何を求めていたかにもよるけど、「本当のトコロはどうなのよっ」と鼻息荒く読み進めていってるのにこんなこと言われたら、まあ確かにちょっとズッコケるかもね(そういうことですよね?Rさん)。
でも僕はそうでもない。立花氏のような冷静で懐疑的、だけどオープンな姿勢というのはとても好感がもてるし、信用できる。どちらの説をとるかと言われたら、そうだな、個人的には立花氏にわりと近い、だけどもう少し「現実体験説」派よりかな。
こういうのって、必ずしもきっちり科学的・理論的に説明できなくても良いと思っている。証明できないけどどっちが正しいと思うか、といわれれば7:3ぐらいの割合で現実体験説かな。7:3じゃあんまり立花氏には近くないか。
脳内現象説みたいに、はい、ここまでが人間の限界なんですよ、ってあるところでスパっと線を引いてしまって、そこから先は何にもありません、みたいなのよりも、現実体験説みたいに、よくわからんけどあれこれと色んな可能性があるみたい、ていう立場のほうが何か楽しいじゃないですか。
自分では結構ロジカルで合理的なものの考え方をしているつもりだけど、この件に関してはそういう風に考えている。