野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

風流は正八面体

先日読んだ鷲田センセの本「てつがくを着て、街を歩こう」の中で、「『いき』の構造」という本について取り上げられていた。
有名な本だ。名前だけは知っている。とりあえず読んでみなければ。

「いき」の構造 他二篇 (岩波文庫)

「いき」の構造 他二篇 (岩波文庫)


タイトルどおり、「いき」について「野暮」「意気」「渋味」「甘味」「上品」「下品」「派手」「地味」という関連する八つのキーワードで構造化し、説明しようとしている。「いき」だけではない、「さび」「雅」「味」「乙」「きざ」等についても、前記のキーワードを頂点とする立方体において、これらがどこに(どの領域に)位置する概念なのか、という考察を行っている。
なるほどこれは面白い。だけど、本当にこういう構造で考えるのが適切かはちょっと疑問だ。ここでは「派手」ー「地味」軸と「上品」ー「下品」軸は直交している。また、「意気」ー「野暮」軸と「渋味」ー「甘味」軸も同様に直交している。一般に、軸が直交するということは、すなわちそれぞれが独立変数である、というふうに理解される。しかるに、例えばあまりにも「派手」なものは「上品」とは言えず、極端な「甘味」は「野暮」なのではないのか。そうすると、これらの軸は直交していないように思えるのだがどうか。

てな事を鼻息荒く述べ立てるのは、「野暮」だよなきっと。