野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

ぐったり

ドストエフスキーの「地下室の手記」を読んだ感想。

地下室の手記 (新潮文庫)

地下室の手記 (新潮文庫)


前半はなかなか進まなかったが、後半は結構一気読みに近かったと思う。だけど、読むのがつらかった。あまりに痛々しすぎる。図らずも、先日の秋葉原における無差別殺傷事件があった直後でもある。こうやって肥大した自意識をもてあまして引きこもる人々が、現代の日本にはひしめいているのではないだろうか。なんだか「キャッチャー・イン・ザ・ライ」を読んだときと同じような感じを受けた。くだくだしく続く自虐的な自己分析と負け惜しみの数々。一方で自分を取り巻く社会と他者に対する糾弾と自身の正当化。読んでてイライラする。疲れる。でも人ごとのような気がしない。
なんだか中途半端なところで終わっているように思うが、彼はいつか救われるときが来るのだろうか。