ソフトウェア業界の巨人(本当にデカいらしい)ワインバーグに続いては、日本の誇る文豪、谷崎潤一郎による「文章読本」だ。
- 作者: 谷崎潤一郎
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1996/02/18
- メディア: 文庫
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耽美派と呼ばれるあの文章は、こういった主義・信念により作り出されている。これもまた、修辞学上の詳細にかかわる話ではない。個人的な感想としては、あの「陰翳礼賛」の続編、というか実践編といった位置づけになるのではないかと思っている。
何でもかんでもクリアカットに、明らかにしてしまうのが良いわけではない。そういうのは品がない。ちょっとぼんやりした、曖昧なところを残すべきである。日本人の、あるいは日本文化の良くないところと言われがちなところは、実は立派な美点なのである、と結局はそんな主張であろう。本書の用語に言うところの「含蓄」というやつだ。いやそれはちょっと、と思う点は多々ある。あまり真に受けるとエライことになりそうな部分もある一方で、参考になるところもある。とても興味深い話なのだ。