野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

ラカンが出てこなくて安心した

東京大学アルバート・アイラー」、ついに後半の「キーワード編」に突入だ。


テーマは「ブルース」、「ダンス」、「即興」、そして「カウンター/ポスト・バークリー」を月替わりで、それぞれゲスト講師も招いて講義が行われたようだ。かけられる曲も、勝新太郎レッド・ツェッペリンから当然アルバート・アイラーまで(といってもアイラーなんて俺様は聴いたことないけどな)。しかしながら、前書きに菊地氏が書かれているように、この「キーワード編」はちょっと手強い。「歴史編」よりもけっこうアカデミック寄りだからな。「歴史編」の、音楽を記号化しようとする試み;12音平均律→バークリー・メソッド→MIDIというのを踏まえた上で読んでいく必要があるし。けっこうクラクラするところもある。特に最後の方で、下方倍音と「感覚的協和理論」なるものを持ち出してきて「バークリーメソッドからすると理屈に合わないブルーノートスケールが、なぜ変に聴こえないか」を理論的に説明しようとするあたり。肝心なところがケムに捲かれてしまった感じですわ。わたくしの場合、音楽理論に関してほんの少しばかりは知っていることもあるのでまだマシだが、全く知らないとちょっとつらいかも。
だけどやっぱりゲスト講師の出てくる、特に大友良英氏の回なんかは、内容は面白いわ軽口やボケも面白いわで、そりゃもう大変だ。
本文中で何度となく引き合いに出される「憂鬱と官能を教える学校」ってのも読んでみたいが、なんだか高価くて厚くて重そうなんだなあ。