野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

さんずいに戻る、とな

茂木センセの本はやっぱり、エッセイよりも対談の方が面白いと思う。一人で怒っているよりも、ある分野の一流のひとの話を引き出すのが上手いんではないだろうか。だから、NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」は人気が高いのだろう。
俺様は一度も見たことが無いから知らんけど。
人気作家、重松清との2年間にわたる対談を集めた「涙の理由」もやはり面白い。

涙の理由

涙の理由


昨今の本、映画、ドラマ等々においては、妙に「泣ける」というアトリビュートに焦点があてられているような気がして、僕はどうもその辺にちょっとイヤな感じがあったのだ。彼らも、そういうのはちょっといかがなものか、と考えているようだ。本来、泣く理由なんて人それぞれ、普遍的に「泣ける」コンテンツなんて、どうも浅くてあんまり信用できないんじゃないの。というようなことだろうか。
実際には重松さんの本も、それらのくくりに入れられるのだが、彼はそれを確信犯的にやっている、らしい。「知床半島のラーメン屋のバイトのお姉ちゃんが読んで泣く」ようなものを作ると。でもその先に、ホンモノもあるんだぜ、と思いながら。

ところで、ファインマンが妻アイリーンを亡くした時には泣かなくて、一ヶ月ほど経ってから街を歩いているときに洋服屋のショーウィンドウの服を見て、アイリーンに似合いそうだなと思ったが、もう彼女はいないんだということに気づいて泣いた。という話が書かれているのは、「ご冗談でしょう」じゃなくて「困ります」のほうですぜ茂木せんせい。