野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

やられっぱなしではアカンぞ

日本の農業をダメにしたのは、農協である。
色んな人が色んなところで言っている。たとえばこの“農協との「30年戦争」”。

農協との「30年戦争」 (文春新書)

農協との「30年戦争」 (文春新書)


とある生産者が自分の頭で考えて、まあこれがマトモだわな、と思うことがことごとく農協によって妨害され、つぶされて行く様子を書きつづり、いかに農協という組織が愚劣なものであるかを訴える、というような本だ。先日読んだ“「亡国農政」の終焉”も官僚の立場から、ほぼ同じようなことを言っているが、こちらの方がより現場に近いせいか迫力があり、単純にエキサイティングで面白い。
農協がアカンというのはおそらく残念な事実なのだろう。だけど、ここまで各方面から「農協はクソだ」と言われると、絶対的に何かが「正しくない」ということが本当にあり得るのだろうか、とちょっと疑わしくなってきてしまうのだ。別に著者の岡本さんを疑っているわけではない。彼の言っていることは少なくともある立場でみれば疑いようのない真実だ。だけど、ここまでくると当の農協の言い分も聞いてみたくなるじゃないか。別に農協を弁護するつもりはさらさらないけど。
組織というものは時間が経つとともに劣化して行き、組織の存続自体が目的と化してしまい当初の目的を適切に果たせなくなるものである。などという説明は別に聞きたくない。きっとびっくりするような、やむにやまれぬ事情みたいなものがあったりするんじゃないのか。だからと言って農協のやってきたことが正当化されることはおそらく無いのだろうけど。誰か反論してくれないかなあ。