野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

一文字違いで大違い

毎年9月は「ローマ人の物語」の月。今年も単行本のXIV巻に相当する「キリストの勝利」が文庫化された。のだけれども他に読むべき本がたくさんあり、なかなか手が付けられなかったのだが、10月に入ってやっとのことで読み始めた。

ローマ人の物語〈38〉キリストの勝利〈上〉 (新潮文庫)

ローマ人の物語〈38〉キリストの勝利〈上〉 (新潮文庫)


コンスタンティヌス大帝の死後、息子のコンスタンティウスが邪魔者を片っ端から消していって皇帝(アウグストゥス)になるまで。実際の所どうだったのかは知らないが、少なくとも塩野さんの見立てでは、どうもこのコンスタンティウス帝というのは、小心者だったらしい。しかも、熟慮を重ねた上でスカタンをやらかすというお粗末さ。自分の死後に権力争いから内乱になったりしないようにとコンスタンティヌス帝は配慮して、三人の息子とその従兄弟(だったかな?)を合わせて五人にそれぞれ帝国の各地域を分割して統治させようとした。なのにこの次男坊は他の四人を次から次へと抹殺し、さらに内乱にまでしてしまった。なんてスカタンな。
ていうあたりがこの38巻のお話ですな。このコンスタンティウスにやられそうでやられずに生き残ったユリアヌスは… というのが次の39巻に続く。