もうかれこれ一週間ほど前のことになるのだけど、小学館から出ているCDマガジン「落語 昭和の名人 完結編」の創刊号を買ったわけですよ。なんと言ってもアナタ創刊号は桂枝雀師匠、そして創刊記念特別価格で490円!
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2011/02/08
- メディア: 雑誌
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問題は、これに収録されている「代書」が先日買ったばかりの「枝雀 落語大全 第三十五集」とカブっているということだ。いやなに、噺家っていうのは同じネタをあちこちでやってるんだからそれぞれ別のバージョンなんだろう、と甘く見ていたら、なんと寸分違わずまったく同じだということが判明した。うむむ、まあ仕方ない。歴史的名演なのだろう。
この「代書」のカップリングが「親子酒」だが、これまたとてつもなく素晴らしいのだ。やはり酔っ払いを演じさせたら枝雀師匠の右に出るものはいないのではないか。これ、実はマクラが「替り目」とほとんど同じなのだ。まあ酔っ払いネタだからなのだろう。
「替り目」の松本留五郎は「代書」で大活躍だが、残念ながらこの「親子酒」には出てこない。登場するのは酒飲みのろくでなし親子だ。
これまた映像を見てみたいところだ。酔っ払った父親が、飲んだくれてまだ帰ってこない息子について文句を言いながら重力に耐えきれず頭から落下する様子、最後の「ごつん」という音だけが聴こえてくる。しかし、その途中が見えないというのもかえって良いのかもしれないな。音声のみのメディアならではの楽しみ方もあってよかろう。
この親子酒、冷静にストーリーを見てみると、ほとんど中身なんてないのだ。二世代にわたる酔っ払いの生態をリアルに描写する、それだけの噺といっても良いのではないか。それでもとにかく面白い。まさに爆笑王、枝雀師匠の面目躍如といったところであろう。