第二次世界大戦の終戦直後、満州から引き揚げてくるときの様子を描いたノンフィクション、「流れる星は生きている」。これを書いた藤原ていの夫は作家の新田次郎であるという。へええ、と思いながら終わりのほうになって、息子の名前が正彦、あれ、藤原正彦?、ひょっとしてあの人!?と気づいた(遅いわ俺様)。
いやあ藤原さん、小さいときにこんな目におうてはったんですなあ。
- 作者: 藤原てい
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2002/07/25
- メディア: 文庫
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とまあ、「満州から引き揚げてくるときの様子を描いた」なんてしれっと書いてるけど、実際そりゃもう壮絶なことになってるわけで。なんだかもう、痛々しくて読むのが辛い、でもどんどん引きずり込まれて読み進めてしまう。
当時の時代背景であるとか、いろんな事情をよく理解していないため、なぜこんな悲惨なことになるのかはよくわからないが、それにしてもひどい話だ。
つい数週間ほど前に例の大震災があって、でこの本、ってのはちょっとタイムリーにすぎるかもしれない。極限状況に置かれたときの人間の行動というのは、なかなかキレイごとではすまないこともあるわけで。
それにしてもこの人、幼い子ども3人道連れで死んでしまおうかと何度も思いながら、とにかくボロボロになりながらもピンチを切り抜けてきた。その執念というのがすごい。自分だったらもう、ほぼ間違い無く途中でくたばってるなと思った。読むのが辛い、っていうのはそれもあるのかもしれないな。つまり、新京を出てから日本に帰還するまでの間に何度も死んでるってことだから。
とてもノンフィクションとは思えない、壮絶なお話でございました。