野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

ノモスって何よ

孔子伝」、やっと読み終わった。ふはあ。
もうかれこれ2週間以上になるんである。通勤電車の中で読むと、特に仕事帰りの場合かなり高い確率で気を失う。
といっても内容がつまらないわけではない。
読み応えがありすぎだ。そして格調が高すぎるのだ。読めない漢字が多い。読めても意味がよくわからなかったりする。ちょっと情けない。

孔子伝 (中公文庫BIBLIO)

孔子伝 (中公文庫BIBLIO)


孔子伝」なんていうタイトルだが、決して孔丘仲尼の言行録なんてもんじゃない。「論語」の解説でもない。
もっとディープだ。「儒の起源」、話はそっからだ。そして儒教はどのように分派していったか、それぞれの流派は何をどう批判しているのか。老荘思想とも関連は。そりゃもう、ヘヴィすぎるだろ。覚悟がたりませんでした。ごめんなさい。
でも、文章がカッコええのだ。例えば第三章「孔子の立場」の最初、「体制について」というタイトルで。

人はみな、所与の世界に生きる。何びとも、その与えられた条件を超えることはできない。その与えられた条件を、もし体制とよぶとすれば、人はその体制の中に生きるのである。体制に随順して生きることによって、充足がえられるならば、人は幸福であるかも知れない。しかし体制が、人間の可能性を抑圧する力としてはたらくとき、人はその体制を超えようとする。そこに変革を求める。思想は、何らかの意味で変革を意図するところに生まれるものであるから、変革者は必ず思想家でなくてはならない。またその行為者でなくてはならない。しかしそのような思想や行動が、体制の中にある人に、受け容れられるはずはない。それで思想家は、しばしば反体制者となる。少なくとも、反体制者として扱われる。孔子は、そのような意味で反体制者であった。孔子が、その生涯の最も重要な時期を、亡命と漂泊のうちに過ごしたのは、そのためである。孔子はその意味では、圏外の人であった。

ふう。ちょっと長かったな。でもまあだいたいこんな感じよ。
それでも最初の方はまだよくて、これがだんだんとフリガナ無しでは読めない漢字が出てきて、読めても意味がわからなくて、読み方すらさっぱりわからん漢字まで出てきて… とそりゃもう大変なんす。
まあしばらくは、もうちょっと気楽な本でリハビリですな。