野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

2011年のまとめ

2011年、何かと大変な一年でしたなあ。
個人的にはまず豪雪に埋もれた年明けで、すでに波乱含みだったわけだが、それからしばらくちょっとした体調不良で、やたら咳が出たり寝込んでみたり。
そして大震災に原発事故。これらの社会的に大きな影響を与えた(今も与えている)事件は、個人的にもやはり無関係というわけにもいかず、直接・間接に色々とあったものだ。
どういうわけか海外出張が増えた、というのもあるな。ドイツに2回、中国に1回。おまけに個人的な旅行でスペインにも。そうだ、勤続20年という年でもあったんだった。特に一回目のドイツ出張は、上記の体調不良も関連して、結構ダメージ大きかったな。
そしてこれらの海外出張や旅行でも大活躍したのがiPadiPhoneだ。5月にiPad2、10月にiPhone 4S導入、とまるでガジェットおたくじゃないかこりゃ。しかしiPhoneは、ずっと待っていた甲斐があったと思う、本当に。
これらのモバイルデバイスによって、アカウント作成したまま長らく冷温停止していたFacebookが再稼働した。ついでにInstagramにも手を出してみたり。
そんな中のジョブズの訃報は、やはりショックだったな。
訃報と言えば、北杜夫さんと小松左京さんについては、わたくしが中学生ぐらいのころに彼らの小説を読み耽っていたことを思うとまたなんともいえず。ミュージシャンではミック・カーンゲイリー・ムーア。しかも、今調べていて気づいたのだが、ヒューバート・サムリンも、ポール・モチアンもつい先日亡くなっているではないか。なんてこった。さらに驚いたのは、10月12日のデニス・リッチー。ジョブズの影に隠れて、あまり報道されなかったのだろうか。ソフトウェア業界に身を置く者として、C言語の父の死に対して心から哀悼の意を表するのである。
さて本も相変わらずあれこれ読み散らかしているわけだが、11月からフーコーの「言葉と物」を読んでいたせいで、すっかりペースが落ちてしまった。
言葉と物―人文科学の考古学
色々と読んだ中で、特に面白く、また影響が大きかったのは「もし僕らのことばがウイスキーであったなら」と「散歩のとき何か食べたくなって」の二冊。
もし僕らのことばがウィスキーであったなら (新潮文庫) 散歩のとき何か食べたくなって (新潮文庫)
なんだよどっちも飲み食い系かよ、と思われる向きもあろうが、これらは飲み食いを起点として、より深いところにたどり着く名著なんでございます。
小説では、三浦しをん文楽ヲタぶりが炸裂する「仏果を得ず」と、なかなか出てこなかった「泣き虫弱虫諸葛孔明」。そして、何だかんだいって「さよなら、愛しい人」もやっぱり良い。
仏果を得ず (双葉文庫) 泣き虫弱虫諸葛孔明〈第2部〉 (文春文庫) さよなら、愛しい人 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
新書では中沢新一さんの「日本の大転換」ですな。後に、画期的な書である、と言われるようになるんじゃないだろうか。
日本の大転換 (集英社新書)
さらに小難しい系では「竹田教授の哲学講義21講」。竹田教授は、やっぱり日本でもっとも信頼できる哲学者だろう。
竹田教授の哲学講義21講―21世紀を読み解く
あと番外編で、レヴィ=ストロースの「構造・労働・神話」。別に新しい本じゃないけど、東日本大震災のとき東京に泊まりで出張に行ってて、夜中に渋谷の書店で買ったので、妙に印象に残っている。
構造・神話・労働 (新装版)―クロード・レヴィ=ストロース日本講演集
CDについては、これまた相変わらず安い輸入盤ばかり買っていて、あまり新譜は無いのだけど、2011年の一枚を挙げるとするならば、やっぱりmama!milkの"Nude"ですなあ。法然院でのライブも良かったので、それとの相乗効果も大きいけど。
Nude
あとはRodrigo y Gabrielaのライブ盤、"Live in France"の熱狂ぶりがすごかったし、年末のすべり込みでZola Jesusの"Conatus"にも完全にヤラれてしまったな。
Live in France Conatus
最後に、なんだかんだで「埋め草」の次ぐらいに多いんじゃないかと思われるこのブログのタグ、「酔」。数えてみたら64あった。うむむ。まあ大変なことも色々あったけど、基本的には機嫌良く日々を暮らしていけてるということですよ。
そんなわけで2012年も平和な一年となることを切に願うのであります。