平川克美さん、「小商いのすすめ」と「俺に似たひと」の二冊同時リリースだ。
けっこう良い勢いで売れているらしい。実際、梅田のブックファーストでは「俺に似たひと」は品切れになっていた。
なのでとりあえず「小商いのすすめ」から。
- 作者: 平川克美
- 出版社/メーカー: ミシマ社
- 発売日: 2012/01/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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前作の「移行期的混乱」から、主張されている内容はそう変わらない。いつまでも経済成長なんて続くもんじゃないんだよ、と。だけど世の中には、まだまだ経済成長が続く、てことを前提にしてる物事が意外といろいろあるようだ。そうじゃないだろ、そろそろ現実に目を向けて、これからは縮小均衡で、けどそれでも機嫌よくやっていくためにはどうしたら良いか考えようぜ、ていう話なのだ、たぶん。
そのためのキーワードが「小商い」。「商」って文字が入っているけど、何も商売に限った話ではない。この本の中では、「ヒューマンスケール」という言葉も出てくる。これを日本語にすると、「小商い」なんだそうだ。うん、わかるような気がする。
たとえば村上春樹の小説に出てくる主人公っていうのは、ほとんど例外なく小商いに徹していると思う。自分の手の届く範囲の事を、ていねいに、地道に片付けていく。たぶん、そういうことなんじゃないかなと思うのですよ。
この本じたいが、「情理を尽くす」という感じでていねいにわかりやすく書かれていて、なんだかしみじみと良い本だなあ、と思ったことだった。