野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

シャガールの謎

なんばの高島屋でシャガール展をやってる、それも20日まで、ってんで慌てて観に行ってきたわけですよ。まあそんなに慌てなくても、すぐに京都でもやるんですけどね。まあこういうのは覚えてるうちに行っとかないと、気づいたら終わってた、てなことになりがちだから。
日曜日だし、午後なんかに行くと人が多くて大変だろう。こりゃ朝一番ぐらいにさくっと行ってゆったりと観るべきだな、と思った。でも思っただけで、実際には午前中に部屋の片付けだなんだかんだとグダグダやってるうちに、結局家を出たのは午後2時を回っていて、会場に着いたのは一番混むんじゃないかと予想していた午後3時ごろだ。あにやってんだかまったく。
チケット売り場の前は予想通り行列になっており、それだけで怯んでしまってもうこのまま帰ろうか、と一旦は思ったものの、いやいやそれはいくらなんでも、ということで少し様子を見て、いやそんなに無茶なことにはなってないんじゃないかという見通しが得られたので、チケットを買って入場した。
実際は、そんなには混んでおらずむしろ意外と空いていて、じっくりと観てまわれる状態で大変に結構なことだった。結果オーライというやつだ。
今回の展示は日本未公開作品を中心に、ということで、前半部分はジュネーブの「個人蔵」というやつ。個人でこんな大量のコレクションを所蔵してるなんて、いったい何者だ。後半は岐阜県美術館のコレクションで「サーカス」のシリーズだ。
確かに、あまり見覚えの無い作品多数。うむ、よいではないか。
相変わらず、普通に考えたら無茶苦茶な色使いなのに妙にしっくりと収まっていて、わたくしを魅了してやまないんである。「馬達」なんて、赤に緑に黄色に紫なんてそりゃどう考えてもやり過ぎでしょうが。シャガールは「なぜ顔を緑色に塗るのか、訊かないでほしい」と言っていたらしい。いや訊くなと言われても、ねえ。
ただ、あの重力や遠近法を無視した構図には、それなりに意味があるらしい。イディッシュ語の慣用表現では、「空中に舞い上がる」のは非常に嬉しい様子を表していたり、「頭をねじ曲げる」は「猛烈に恋に落ちる」という意味だったり。ははあなるほど、そういうふうに見ると、シャガールの画は色々と謎解きができそうだ。けど、一方ではやっぱり、理屈はいいからあの幻想的な雰囲気を楽しみたい、というのもありますな。うん、なんだか知らんが「青い女曲芸師」のあの青は、なんだかどすんと来たよ、どすんと。今回いちばんインパクトのあった一枚ですな。
秋には京都文化博物館でもシャガール展が予定されていて、これまた楽しみなことである。