テディベアを探せ

またまた借り物の東野圭吾、今度は新作の「疾風ロンド」だ。

疾風ロンド (実業之日本社文庫)

炭疽菌をベースにして、密かに開発された生物兵器が、研究施設から盗み出された。その菌を、摂氏10度を超えると壊れる容器に入れて雪山に埋めた元研究員は、これをネタに研究施設を脅迫する。なんとかして、この菌を見つけ出し、世間に知られないように安全に回収しなければならないのだが…
実に緊迫感に満ちた、スリリングな話なのだが、世間体と自分の保身ばかりを考える研究所長と、彼に菌の回収を命じられた気の毒な研究員・栗林。この二人のキャラクターにより、なんとも滑稽なコメディーに仕上がっている。これに、事情がよくわからないながらも回収に協力しようとする地元のパトロール、菌を横取りしようとする別の研究員、などなどが絡んできてなかなか複雑なストーリーになっている。いやはやまったく、上手いですなぁ。