野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

まばたきしない男の話

あれは確か「踊る大捜査線 THE MOVIE」の中で、どういう話の流れだったかよく覚えていないけど、青島刑事が公安の人間に「あんたら評判悪いよ、暗いって」というシーンがある。
公安というのは徹底した秘密主義で、あまり表に出てくることもなく、その実態はよくわからない。
「血の轍」は、そんな公安と刑事部との、それぞれの大義を守るための暗闘についての物語だ。

血の轍 (幻冬舎文庫)

血の轍 (幻冬舎文庫)

終わりに近いところで、「君が信じる正義と、組織が守りたい正義は性格が違うのです」というセリフが出てくる。「残念ながら、正義はときと場合によって姿を変える」とも。これらがそのまま、この小説のテーマを言い表していると思う。
前半は登人物の相関がうまくつかめず、ちょっとばかし難儀したが、途中からはもう、とにかくスリリングでハード。結構歯ごたえがあるので、一気読みというわけにはいかないが、かなり読み応えありだ。これはぜひドラマでも観たい。
と思ったが、原作を読んだのが遅かったので、残念ながらWOWOWのドラマは終わってしまった。まあ気長に再放送を待つんですな。