野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

猫を飼うのは愚行だと?

京都の相国寺で、禅僧100名を前にしてプロテスタントである佐藤優氏が4回にわたる特別講義をしたという。
相国寺の隣にある同志社大学の神学部に通っていた佐藤氏の指導教授の誘いにより実現したものらしい。相国寺というのもなかなか懐が深い。
テーマは「危機と宗教」。これが「サバイバル宗教論」という本になったわけだ。

サバイバル宗教論 (文春新書)

サバイバル宗教論 (文春新書)

国家、民族、そして宗教、というビッグ・イシューについてマサルちゃんが語るわけで、そりゃ面白いに決まっている。イランの核や、ロシア情勢、沖縄の問題、尖閣諸島にTPP。ナショナリズムと信仰と救済と貨幣、マルクス主義、ファシズム原発。いろんな話があっち行ったりこっち行ったり。でもこれらはみんな、ちゃんとそれなりに関連のある話なわけで。
合理的なものを超える、あるいは別の合理性で世界をとらえる。これが宗教的な感覚であるらしい。日本人の宗教観は魔術的で、これは神道の影響なのだそうだ。魔術というのは実は近代科学と同じで、つまり、手続きにしたがってやればだれでも同じ結果が出るということ。そうではないのが超越性で、手続きを踏んでも実現できるとは限らないということだ、と。なんだかよく分からんが、面白いなそれ。
こういう、「よくわからないけど、ほほぅと思う」ような話が満載だ。とても刺激的。たいへん楽しめましたです。