世の中に異変が起これば、それは商売のチャンスである、と考える人々というのがいる。先般の、変な髪型したおっさんが大統領になったという事件についても、これに便乗してひと儲けしてやろうと目論む連中が後を絶たないわけだ。で、例えば『トランプは世界をどう変えるか?』なんてタイトルをつけ、エマニュエル・トッドのインタビューと佐藤優の論説を抱き合わせにすれば、そういうのにコロッと引っかかって手を出してしまうヤツがほら、ここに一人。チョロいもんだぜ。
トランプは世界をどう変えるか? 「デモクラシー」の逆襲 (朝日新書)
- 作者: エマニュエル・トッド,佐藤 優
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2016/12/26
- メディア: Kindle版
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まあ確かにね、トッドは「トランプ大統領」の可能性について前から言ってましたね。でこれは「デモクラシーの逆襲」なんだと。ここで言ってるデモクラシーは「白人の民主主義」のことだけどね。争点は自由貿易、と単純化すると、それによって収奪された人々による反乱というのもまあわからんではない。
それはそれとして、トランプの共和党候補指名受諾演説の全文が載ってるなんてのも、これちょっとキツいもんがあるな。読んでて気分が悪くなる。だったら読むのやめとけよ、てなもんだけど。
トッドへのインタビューの最後に、
"トランプ氏が選出された意味とは別に、この人物についてはどう思いますか。米国大統領としてふさわしいでしょうか。"
という質問があった。それに対するトッドの答えはこうだ。
"ある意味で、米国ではどんな大統領であれ、人格的な面はやや二次的なことなのです。やりたいことが何でもできるわけではない。"
おい、あんた質問に答えてないじゃないか。
トッドてのもなかなかの食わせ者だよなぁ。