「空飛ぶタイヤ」、まずは上巻。
- 作者: 池井戸潤
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2014/03/14
- メディア: Kindle版
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走行中のトラックからタイヤが外れ、たまたま近くを歩行中の主婦を直撃し、主婦は死亡。トラックのメーカーは運送会社の整備不良を主張する。事故の当事者である運送会社・赤松運送は取引先を失い、遺族からは訴えられ、銀行からは融資を断られるどころか貸し剥がしにあう、という窮地に陥る。もうさっぱりワヤですがな。
しっかり整備はしてるのに整備不良ってのはちょっとおかしいなってんでちょっと突っ込んでみると、いろいろ怪しいことが。実はトラックの構造上の欠陥があるんじゃないのか、てことになり、赤松運送の社長は、四面楚歌な状況の中で、トラックのメーカーであるホープ自動車とのバトルを開始するわけですな。
「本書はフィクションであり、実在の場所・団体・個人等とは一切関係ありません。」って。いやいやいや。すくなくともこの、財閥系自動車メーカーの話はどこかで聞いたことが、というか誰がみてもこのホープ自動車ってのは、あそこでしょ。そんな、「楕円を三つ組み合わせたスリー・オーバルのマーク」なんて言ってもだめですよ。
世間でいうところの「大企業病」の病理と、罹患した場合の症状のショーケースというのがふんだんに散りばめられており、読み物として非常に面白い。けど、自分にもどこかにこんなメンタリティが潜んでいやしないか、とちょっと心配しながら読みふけった。