野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

啓示なしになんの人生だ

岸本佐知子さんの翻訳アンソロジーが文庫で出る、てな情報をツイッター方面から得た。
タイトルは「恋愛小説集」?岸本さんにしちゃ何だかネムいことしてんなぁ、と思ってよく見たら「変愛小説集」だった。いや、さすが。

 

変愛小説集 (講談社文庫)

変愛小説集 (講談社文庫)

 

 

 

前の「居心地の悪い部屋」のときも思ったのだけど、よくもまあ、これだけ怪体な話ばかりを集めてこられるものだと感心する。とにかくパラノイアフェティシズムオブセッションのごった煮、とでも申しましょうか。でも、だからこそ、その中から、純粋な愛というものの形が見えてくるのですよ。純粋であることはすなわち、ラディカルでエクストリームである、ということなのだから。

 
…と言いたいところだが、うーんどうかな。まあとにかく、グロテスクで奇妙で不条理な話ばかりであることは間違いない。いいんじゃないかそれで。理屈抜きに「変な話」ってことで。そうやって日常性の縁を飛び越えるのだ。「啓示とは日常性の縁を飛び越えること」って「海辺のカフカ」でカーネル・サンダースも言ってたし。