野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

中野渡頭取がキヨってのはちょっとな

TVドラマにまでなった「三匹のおっさん」の続編、「三匹のおっさん ふたたび」がついに文庫化された。

三匹のおっさん ふたたび (新潮文庫)

三匹のおっさん ふたたび (新潮文庫)

それにしても最近アレだな、半沢直樹といい三匹のおっさんといい、わかりやすい勧善懲悪の痛快なお話が受けているような気がする。それだけ、世の中はインチキなことがまかり通っていて、ワルモノが大きな顔してのさばっている。そのことにたいして結構みんなブラストレーションがたまってるって事じゃないかな。
さて「三匹のおっさん」は前述のように、町内限定の「正義の味方」が悪いやつらを懲らしめる、という痛快さが魅力、みたいなところがあるのだけど、この「ふたたび」でちょっとトーンが変わってきている気がする。近頃の若いヤツらはまったく、ということではない。現代日本の社会におけるモラルハザードについての問題提起、そして、それらの諸問題に対するコミュニタリアニズム的な解決とはいかなるものか、という事例集のように読めるのだな。いやね、「阪急電車」あたりを読んでもそうなんだけど、有川さんの小説ってコミュニタリアン的な思想が透けて見えるのよね。
一時期ネオリベ的な価値観が一世を風靡して、でもその結果として大きく損なわれたり失ってしまったものがいろいろあって、すっかり人心も荒廃している。そんな風にみんないい加減げんなりしてきているところに、コミュニタリアニズムっていうのはわりと良い感じで受け入れられると思うけどな。
なんてな。まあそんな小難しい理屈をひねくり回さなくても、おっさんたちの活躍を楽しめば良いのですよ。