TVドラマにまでなった「三匹のおっさん」の続編、「三匹のおっさん ふたたび」がついに文庫化された。
- 作者: 有川浩
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2015/01/28
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (5件) を見る
さて「三匹のおっさん」は前述のように、町内限定の「正義の味方」が悪いやつらを懲らしめる、という痛快さが魅力、みたいなところがあるのだけど、この「ふたたび」でちょっとトーンが変わってきている気がする。近頃の若いヤツらはまったく、ということではない。現代日本の社会におけるモラルハザードについての問題提起、そして、それらの諸問題に対するコミュニタリアニズム的な解決とはいかなるものか、という事例集のように読めるのだな。いやね、「阪急電車」あたりを読んでもそうなんだけど、有川さんの小説ってコミュニタリアン的な思想が透けて見えるのよね。
一時期ネオリベ的な価値観が一世を風靡して、でもその結果として大きく損なわれたり失ってしまったものがいろいろあって、すっかり人心も荒廃している。そんな風にみんないい加減げんなりしてきているところに、コミュニタリアニズムっていうのはわりと良い感じで受け入れられると思うけどな。
なんてな。まあそんな小難しい理屈をひねくり回さなくても、おっさんたちの活躍を楽しめば良いのですよ。