- 作者: 池澤夏樹
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2013/07/05
- メディア: 単行本
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ちょうど真ん中あたりに東日本大震災をはさみ、原発事故や沖縄の基地問題、その他もろもろのビッグイシューについて語るこの本のタイトルがポーランドの詩人ヴィスワヴァ・シンボルスカの詩から取った「終わりと始まり」であるというのは非常に示唆的であるが、これはたまたま付けたものであるらしい。
特定のイシューに関して、ただヒステリックに誰かを責め立てる、あるいはシニカルに嘲笑する、というのとは違う仕方で、冷静に物事の道理を説きつつていねいに、自身の主張を読者に届ける。池澤さんのこのスタイルには知的誠実さが感じられて好感が持てるし、その内容には共感も覚える。世の中の決して単純ではない諸問題に関して、こんな風に自分の頭で考えて、それを語れるようになりたいもんだとつくづく思いますな。