野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

出家されているとは存じませんでした

先日、極道コントの金字塔「極道の妻(おんな)たち」を観て失笑しながらも、これは是非とも原作を読んでみなければ、と思ったのだ。

若き日の家田荘子が、実際にヤクザの家に居候までして書いたという渾身のルポルタージュ、「極道の妻(つま)たち」。「渾身のルポルタージュ」なんて、今どきそんな言い方するのかな?まあかなり手垢にまみれた言い回しよね。「敬虔なクリスチャン」なみに陳腐だな。でも仕方ないですよ、1986年の作品なんだから。そう、取材をしていたのは山口組と一和会の抗争が勃発したころで、よくまあそんな時にこんなネタを取りあげようと思ったもんですね、てなもんだが、むしろそこに値打ちがあるのだろうな。
映画の「極道の妻たち」のキャッチコピーは「愛した男が、極道だった」だ。何じゃいそら、と思っていたらこれって実はこの原作(?)に出てくるフレーズなのですね。んでこの原作(?)を読んでみたら、まあはっきり言ってこのフレーズと(仮名)で登場する一部の姐さん及び親分の名前が一致する以外は、別のお話と言った方が良いように思いましたです。
登場する奥様方はみんな口をそろえて「極道は嫌い」とおっしゃる。そして、「でも」「だけど」と言いながら上記のようなセリフを吐かれるわけです。がしかし、「極道は嫌い」と言いながらも実際の行動は全くそのようには見えないわけで。著者を含めて一部には気づいている人もいるようだけど、「極道は嫌い」でも、結局は極道的メンタリティであるとか、極道的価値観を持つ男が好き、ということであるようにわたくしには見えましたですよ。
全体に、話としては面白いですけどね。映画より面白いかも。でも結構ひどい話もあるようで。カタギの男と結婚したのは良いけど、熱病で寝込んでいる夫に覚醒剤を投与して、すっかりシャブ中にしておきながら、これだから素人は、みたいな言い方ってちょっとないんじゃないですか?と思うのですけどね。
21世紀にあらためて映画を作ったらどうなるんだろうなあ、この話。