昨年の暮れに帰国して以来、実はまだ宇久に行けてなかったのだ。これは由々しき問題である。
てなわけで。
転勤で大阪を去ってしまうというT氏と一献。
相変わらず日本酒の充実したラインアップがたまらんわけだが、あれこれ飲んだうちのひとつに「南方(みなかた)」というのがあった(写真左)。和歌山の酒だ。
南方熊楠となんか関係あるんか、と仔細に見てみると、「南方熊楠ゆかりの酒」なんて書いてあるじゃないか。
彼の実家は造り酒屋で、熊楠の弟である常楠がその後を継いだ。明治40年に大隈重信がその酒を世界一統と命名し、昭和46年に社名を南方酒造株式会社から株式会社世界一統に変更したという。なるほど。「南方」だけではなく「熊楠」なんていう酒もあるじゃないか。
南方熊楠は定職につかず収入もなかったので、造り酒屋で成功している実弟にしばしば
金の無心をしたという。まあせいぜいこれくらい名前を使って宣伝しても、罰は当たらんでしょうな。「南方」は辛口で、なかなかワイルドな感じの酒でござんした。