野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

ブルース・リーの霊言て何やねんな

『ブルース』って花村萬月の小説と同じタイトルやんけ、と思いながら、文庫の新刊を読んでみた。

ブルース (文春文庫)

ブルース (文春文庫)

「貧しさから這い上がり夜の支配者となった男」影山博人が主役のようで実は、彼に関わる女たちが8つの短編小説の主役のように思える。
影山博人は両手両足に6本の指を持って生まれてきた。6本の指を持つ男、でまず連想するのはハニバル・レクター博士だ。そして交通事故で3本になってしまった指でギターを弾いていたのはジャンゴ・ラインハルト。でも影山博人がギターを弾くわけじゃない。というか音痴らしい。
そして、「敏江はサービス精神旺盛なポール・マッカートニーよりも、 ジョン・レノンの湿っぽさが好き」なのだそうだ。その感じ、わかる気がする。
どうにも陰鬱で、上品なポルノグラフィ。不思議な魅力のある小説だった。